『メイドインアビス』vs『ブレスオブファイア5』-大冒険、上から行くか?下から行くか?-

  by poevil  Tags :  

不定期連載 “ゲームと何かの架け橋になりたい” 略して “ゲー橋”

ゲーム開発会社のプランナーである筆者が独断と偏見で選出した素晴らしいゲームと一緒に楽しんでほしい他ジャンル作品(マンガ、アニメ、映画、小説等々……)を勝手に対決させ、セットで紹介することで“ゲームと何かの架け橋になりたい”という不定期連載、略して“ゲー橋”の第一弾として、マンガ『メイドインアビス』と、ゲーム『ブレス オブ ファイアV ドラゴンクォーター』(以下BOF5)を紹介したい。

両作品を通して、スリリングな冒険が楽しめることをお約束しよう。

『メイドインアビス』は、こんなマンガ!

少女は不思議な少年と出会い、大穴の底を目指す……

メイドインアビス(1巻)
作:つくしあきひと  出版:竹書房
書籍版:885円
Kindle版:796円

メイドインアビスはゲームのようなファンタジ-世界を舞台にした“穴もぐりまんが”(作者談)である。大昔に発見された巨大な縦穴“アビス”の最深部を目指して、少女と少年が行方不明の母を探しに行く物語だ。現在第3巻まで刊行されている、今まさに注目の冒険マンガだ。

作者のつくしあきひと先生は、元はゲーム業界出身のデザイナーでありコナミから発売された『エレビッツ』等のキャラクターデザインやイラストを手掛けていた。幻想的で可愛らしいタッチは、ロリ・ショタはもちろん、ケモナーまで、幅広い性癖を刺激する罪深さがあるが、その絵柄には似つかわしくない程に、ハードでドロドロとした”しんどい”描写もまた魅力である。

こんな可愛い少女が、血を吐き、骨を折る!これでまた変な性癖に目覚める!?

余談だが、つくし先生の描く女の子は漫☆画太郎先生の美少女にどことなく雰囲気が似ている。保護欲を掻き立てるか細い少女が、グチャグチャのでろでろな酷い目に遭うというところも共通している。

『ブレスオブファイアV ドラゴンクォーター』は、こんなゲーム!

少年は不思議な少女と出会い、まだ見ぬ地上と空を目指す……

ブレス オブ ファイアV ドラゴンクォーター
メーカー:カプコン
PS2版:7344円+税
PS2アーカイブス:1234円(2016/2/17配信)

BOF5は2002年にカプコンが発売したプレイステーション2(以下PS2)用のRPGだ。スーパーファミコン時代から続く人気シリーズの5作目である。少年が謎めいた少女と出会い、誰も見たことのない”空”を見るために地上を目指す物語だ。

1~4まで多少ダークな要素を織り交ぜながらも、いわゆるRPGらしい剣と魔法のファンタジー世界が舞台だったがBOF5では一変して、退廃的な近未来の地下都市に舞台を移し、システムも独特なものが多い。そのため、一部のシリーズファンからは懐疑的な印象も持たれているが相変わらずダークな世界観やダンジョン探索系RPGとしての評価は高い。

当時トレンドのトゥーンレンダリング、空気感ある背景、シミュレーション風の戦略的なバトルが特徴

長らくPS2ソフトでしかプレイが出来ない過去のゲームであったが、この度14年の時を経て2016年2月17日PS2アーカイブスで配信されることが発表され、にわかに注目を集めている。これからプレイをはじめるには絶好のチャンスなのだ。

まだ見ぬ場所を目指して……“上”から行くか?“下”から行くか?

メイドインアビスとBOF5は対照的な特徴と、共通点が多く挙げられる。
1つめは、主人公たちの冒険の出発点と目的地の位置関係だ。

メイドインアビスは、地上から大穴アビスの最深部を目指して下へ下へと潜っていくが、BOF5は閉塞的な地下都市から、地上を目指して上へ上へと昇っていく冒険が繰り広げられる。

地下都市にの天井に描かれた、偽物の空。少年は本物を見に行く。

帰ってきたものは居ない奈落の底に冒険者は想いを巡らす。

軌跡としては逆であるが、穴の底も地上も、それぞれの世界では誰も見たことのない秘境であり、憧れや畏怖を集めるスポットという点で共通している。見上げても見えない空、のぞき込んでも底の見えない穴……未知の風景や道中で待ち受けているであろう冒険への期待は否応なしに高まってくる。

冒険モノと好相性の“ボーイミーツガール”

冒険モノの主人公は少年と少女のセットであると昔から相場が決まっているがメイドインアビスやBOF5もその例に漏れない。

メイドインアビスの主人公・新米冒険者の少女”リコ”は機械の身体を持つ記憶喪失のロボット少年”レグ”と出会い、BOF5の主人公・レンジャー隊員の少年”リュウ”は翼を持ち言葉を失った少女”ニーナ”と出会い、それぞれ冒険へと駆り立てられることとなる。それぞれ、主人公は謎めいた異性と出会っているものの、男女が逆となっているのは興味深い。

少女が謎の少年をリードして旅立つスタイルは斬新である。

ニーナはBOFシリーズ定番キャラだが徐々に翼が退化してきており、5では痕跡レベルのようだが……

“呪い”が行く手を阻む!サバイバルな冒険がしんどい!

2つの作品の最大の特徴は、サバイバル感満点の“しんどい冒険”である。
世界の厳しい設定が、リコやリュウの行く手を阻みまくるのだ。

恐ろしい生物と、人間には抗えぬアビスの呪い!

奈落には“深刻”“致命的”と言える恐ろしい生物が生息していることに加え“アビスの呪い”と呼ばれる恐ろしい不可抗力が働いている。ある程度の深度に潜った人間が地上に向かって引き返すと強烈な体調不良を引き起こすというものだ。浅い階層からの帰還であれば目まい、吐き気程度で済むが深くなれば、出血や人格の破綻、最悪の場合死亡など手に負えなくなる。行く手には強敵だらけ、深く戻ったらもう戻れない、それがアビスの恐怖だ。

“モンハン”のモンスターのように生態が設定された生物たち。恐ろしくもどことなく慕わしい。

そして、長旅に必要な物資やアイテムや食糧はあらかじめ携行しておくか、道中で自給自足せねばならない。『ダンジョン飯』よろしく、倒した敵を調理する知恵と技術や、ローグライクゲームのように限られたアイテムでピンチを切り抜けるサバイバルな冒険描写もメイドインアビスの大きな魅力の1つだ。本当にゲーム好きに響くマンガである。

アビス飯……度し難し。

歩いただけでも死ぬ!諸刃の竜の力!

BOFシリーズの歴代主人公”リュウ”竜に変身できる強力な特技を有している。しかし、シリーズが進むにつれてその能力は退化の傾向があり、5のリュウは竜の力を使うだけでなく力を宿しているというだけで身体がむしばまれてしまうのだ。まるで呪いである。竜の力による浸食度は“Dカウンター”に示されるのだが、移動や戦闘で蓄積するこの数値が100%に達するとリュウが死亡し、ゲームオーバーとなる。(Dカウンターを減少させる術は一切ない)

死期が刻一刻と迫っている身体では後ろに戻っている余裕など全くないのだ。

歩くだけで死んじゃう初見殺しの理不尽な仕様に絶望したユーザーも多い。だがそこにシビれる(以下略)

また、BOF5はRPGとしては珍しくダンジョン内の敵は完全に固定配置で倒したら二度と復活はしない。辛い戦闘を繰り返さなくていいというメリットもあるが、いわゆる“レベル上げ”や”お金稼ぎ”が戦闘ではできないということでもある。
BOF5には宿屋が存在せず、セーブも専用アイテムを消費するという容赦なく厳しい世界の為、アイテムは大変貴重な存在となる。敵から得られる限られたお金やアイテムを大事に大事に使いながら先へと進まなければならないのだ。しかしケチると死ぬ。その上、持てるアイテム数も限りがあるため、持ちすぎると道中でアイテムを拾えない!

サバイバル感覚を研ぎ澄ませ、死んではやり直す……そんなバランスのゲームなのである。

セーブ、回復、買い物……全ての行動は計画的に!

大冒険、上から行くか?下から行くか?

長々とメイドインアビスとBOF5の魅力をお伝えしてきたが、語り尽くせない部分がまだまだ、たくさんある。メイドインアビスが好きな方にはBOF5をオススメしたいし、BOF5が好きな方にはメイドインアビスを……両方を知らなければ両方を!
とにかく、実際に読んで・遊んでみるのが一番だ。

あなたの冒険は、上から?それとも下から?

“ゲームと何かの架け橋になりたい”という不定期連載、略して“ゲー橋”、第一弾はこれにてお開き!またいつか、セットでご紹介したい”ゲームと何か”を第二弾にてお披露目したい。

画像はすべて筆者撮影。
※ブレスオブファイア5の画面は全て2002年発売のPS2版のものです。
(C)つくしあきひと (C)竹書房 (C)CAPCOM

某ゲーム開発会社のプランナー。RPGが好きすぎて死ねるし、時々死にかける。趣味・特技は詩の朗読。

ウェブサイト: http://sorcerypaedophile.webnode.jp/

Twitter: poevil