【通勤読書】28:屋上ぴかぴかロマンス

<『屋上ぴかぴかロマンス』 大沢やよい>
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この本は、 『2DK、Gペン、目覚まし時計』 を読んでから『大沢やよい作品強化期間』に突入した時期に購入して読みました。『恋心メトロノーム』『わがままファズとぴかぴかさん』『ダブルバインド』『in secret … ?』『恋心エチュード』の5作からなる短編集です。個人的には『in secret … ?』の野田先生がタイプなのですが、続編が他の短編集『スパイスガールズ』に入っているようなので、野田先生と森川さんについては後日改め、今回は主人公も相手も大人女子の恋愛を描いた『ダブルバインド』について書いていきます。
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OLの絵美と自動車教習所の先生の麻由は交際中ですが、とある日曜日に麻由から別れを告げられるところから物語は始まります。別れの理由はツーリング仲間の年下男子に告白されたから。絵美は彼女の気持ちを尊重して別れを承諾しましたが、「女性しか愛したことない」と言っていた麻由の心変わりに傷ついたり、「私が叶えられないことも男相手なら叶えられる」と引き止めなかった自分を正当化したりしながら揺れる日々を過ごします。数日後、別れた麻由は元恋人ではなく、友人の顔をして絵美の部屋に、ぶらりと現れ・・・という感じで物語は進行します。女性同士の恋愛の場合、数が少ないこともあってか、恋人を盗られる場合の相手は男性になることが多いかもしれません。そして、残された女性が戦うのは、恋人を盗んでいった男性の容姿や彼女に対する愛情の深さ、ではなく、結婚できたり子供が作れたりする社会的にも身体的にも強い立場に対してなのだろうな、と。それを考えると、胸が苦しくなる作品です。
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タイトルの『ダブルバインド』は二重拘束という意味で、二つの矛盾した命令を受け取った者が、その矛盾を指摘することができず、しかも応答しなければならないような状態を指すのだそうです。この物語に当てはめると、絵美のダブルバインドは「麻由と交際を続けたいけど社会的な幸福は与えられないかもしれない」と「麻由の幸せを考えて別れを受け入れたいけど彼女が大好きだ」となり、麻由のダブルバインドは「年下男子に告白されてしまったが自分は女性しか好きになったことがない」と「絵美は好きだし彼女との未来を考えないでもなかったが好きなことだけして生きていきたい」となるのではないかと。自分の心地よさだけを追及してしまう麻由と、心が広いというよりは諦めの悪い絵美が、どういう結論を出したのかは本編で確認して頂ければと。 そんなこんなでおススメです。
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(写真は著者撮影)
※紙媒体ではなく、Kindleで購入後、スマートフォンで読書することが増えたため、添付写真がこのスタイルになっております。ご了承ください。
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