今年最も注目されるライブアイドル2組が激突!1/9 「ベルめるモ!」@下北沢GARDEN レポート

今熱すぎるアイドル「ゆるめるモ!」と「Bellring少女ハート」

 昨年12月22日の夜Twitter上で突如、3週間後に「ゆるめるモ!」と「Bellring少女ハート」が対バンでライブを開催することが告知された。チケットは翌日10時から販売され、開始30分で完売した。イーチケット販売分に至ってはわずか5分でソールドアウト。

 年末年始にキャパ2500人超のZepp diver cityとZepp 東京でワンマンライブを成功させた彼女たちがキャパ600人のライブハウスで競演、今年2月でBellring少女ハートを卒業する宇佐美萌が「最後にどうしてもやりたい」と熱望した企画であることを鑑みれば、チケットがプラチナ化する理由は十分にあった。
 
 ゆるめるモ!とBellring少女ハートはいずれも大手の事務所に属さず、個人のプロデューサーが企画立案、スカウト、ブッキング等すべてをこなし成長させたグループである。昨年12月7日の「たけしのTVタックル」では「ネクストブレイクアイドル」としてこの2組が挙げられた。

 ゆるめるモ!のプロデューサーはフリーライターの田家大知氏。「窮屈な世の中をゆるめる」というコンセプトで2012年秋に結成された。曲はニューウェーブ、ギターポップ、テクノなど様々なジャンルがmixtureされ、その守備範囲の豊かさはヒカシューや非常階段と共演していることからも伺える。キャッチーなワードプレイに包まれた歌詞の中身は10代の少女達が抱える微熱感、不安、苦悩が生々しく提示されており、語られるテーマは決して「ゆる」くない。代表曲「逃げろ!」に心励まされる傷心者はTwitter上にも多数存在する。

 一方Bellring少女ハートのプロデューサーは映像クリエーターの田中紘治氏。2012年春に結成、現在メンバーは6人。全員黒髪にセーラー服に運動靴、黒い羽根の飾りをまとい踊り狂う姿は、カラスの集団を想起させる。楽曲は重低音が鳴り響くラウドロックから1960年代ブリティッシュロック、ジプシー・クレズマー音楽までこちらも幅広く、ダークかつ幻想的な歌詞が多い。ファンのやんちゃぶりも有名で、夏の野外フェスでは発煙筒、花火を炊き物議を醸した。
 

それぞれのキャラクターがますます明確になったゆるめるモ!

 超満員に膨れ上がった地下のライブハウス、先攻はゆるめるモ!。フロアにはつなぎのコスプレをした女の子(男の子)も多く、華やかな雰囲気を醸している。

 オープニングの定番曲”モモモモモモ!世世世世世世!”、”転がれ!”、”不意打て!”で一気に会場のボルテージを上げる。大箱を経験したおかげで、個々が支配する空間・目線の届く範囲が格段に拡張しておりステージが狭く感じる。同じ振付でも「遠くまで見せる」動きに進化していた。

 続いて浮遊感のある比較的スローテンポの曲が2曲続く。長い音符、音程のアップダウンが多く歌唱力が要求され、振り付けにも安定感が求められる。1時間のセットリストでこのような曲に2つも挑む姿勢に、彼女たちのこれから目指す方向と覚悟が提示されている。
 
 後半はアップテンポの曲でフロアを充分加熱した後、”Only You”で一気に点火・爆発させる勝利の方程式を今夜も成功させた。さらにダメ押しの”逃げろ!”、”さよならばかちゃん”でオーディエンスを完全燃焼、灰にさせた。

 個々のメンバーが「自身のキャラクター、売り」を自覚しそれを「魅力」として提示するすべを獲得しつつある。今後その強烈な個性を癒合・分裂・接着といった相互作用の発生につなげられれば、さらに高い世界に到達できるであろう。

フロアがあまりに男臭く汗臭いBellring少女ハート

 ゆるめるモ!が終わり緩やかにフロアのファンが入れ替わると、前列の野郎率がぐっと高まりライブが始まる。基本的に彼女たちの曲はすべて「攻める曲」、MCもないのでステージもフロアも体力勝負だ。序盤”c.a.n.d.y”、”GIGABITE”ですでにフロアからリフトの塔が何柱も突進してくる。メンバーもゆるめるモ!同様、圧倒的な熱量でステージを縦横無尽に駆け回る。

 アルバム発売を控え新曲を交えた構成が続く。いずれもダンスの難易度が高まっており彼女たちの進化が見て取れる。歌詞の大半が「愛して」一部「殺して」と過程をすっ飛ばしたラブソングでフロアをトランス状態にしてから後半に突入、”asthma”で大団円を迎える。自分たちの軌跡を振り返り、さらに高みに昇ろうと立ち上がる決意表明の曲である。演者と聴衆が合唱することで、ライブという「場」を超えた生の一体感を生み出していた。フロアはもみくちゃ、シャツは自分のか他人のかわからない汗とメンバーがステージから吹く飲料水でびっちゃびちゃ。

 ライブを通じて印象的だったのは、メンバーの表情が曲ごとに豊かに変化することだ。園児のようにはしゃぐ笑顔かと思えば、氷の様に冷たい彫像にもなるし、狂人のごとくゆがむ場面もある。ギミックあふれる振付と相まってますます演劇性が高まったステージであった。

そして両グループ入り乱れての共演

 本編が終わりアンコールがこだまする中、両グループの立役者田中氏と田家氏がステージに上がる。それぞれの「児童」担当、ちー坊@ゆるめるモ!とみずほ@Bellring少女ハートのユニット「Escalator or Elevator」が紹介され、一年ぶりのミニライブ。全ての場面の段取りがグダグダでほほえましいが、何とか立て直そうととする「ちー坊@ゆるめるモ!」と細かいことを気にせず踊る「みずほ@Bellring少女ハート」の違いに、両グループのコンセプトの違いが垣間見えるようだ。

 2人が全員をステージに呼び寄せ、共演が始まる。本編で温存したそれぞれの夏曲”夏のアッチェレランド”、”なつ・おん・ぶるー”を、両グループ入り乱れ歌い上げた。貫禄すら感じさせ始めた彼女たちに、新規の客は圧倒され、古参のファンは「ここまできたか」と感慨深く見つめていた事だろう。

 アンコールの後は地下2階に移動し、物販・チェキ会と続く。ライブアイドルの夜はまだまだ終わらない。

(画像は著者撮影)

ロック・ファイナンシャルプランナー・経営学・アニメ・医者・ライブアイドルなどなどの知識をごちゃ混ぜて 「結局お前何がしたいねん」 空間を綱渡りで歩むフリーライター カオスの一歩先へ!

Twitter: @yuuzaamay1