【意外と知らない!?】機械系技術者の事情 第四回「CAD・後編」

  by 前田アキヒコ  Tags :  


はじめに

 この連載では、機械系技術職に就いた私自身の経験や体験をもとに、機械系技術者に関するちょっとした情報や仕事の内容について紹介していきます。

  

 また、私はもともと職業訓練を受けて就職した身なので、業界の雇用状況に詳しい訓練校職員の方に、いろいろなアドバイスを受けてきた経験もあります。

 なので、本連載では、(ちょっとしたものではありますが)機械系技術者の求人事情についても触れていきたいと思います。
 今回は、前回に引き続き、機械製作には欠かせない「CAD(キャド)」について記事を書いていこうと思います。

  
※本連載を読む上での注意 

 なお、ひとくちに機械系の企業や技術者と言っても、実際は企業や所属する部門によって業態や業務がそれぞれ異なります。
 私自身は、「機械設計・製図業務」をメーカーから請け負う「機械設計事務所」という分類の企業に就職した人間です。
 なので、本連載の内容もこの種の業務か、それに近いものを担当する企業・技術者についての情報がメインになっています。その点ご了承頂ければと思います。

  

  
今回の記事の内容
  

 前回の記事では、主に機械製図業務に使用される「2DCAD」について紹介させて頂きましたが、
今回の記事では、コンピュータの3D技術をフル活用した「3DCAD」についてちょっとした解説をしたいと思います。

  

3DCADとは?
  

 3DCADとは何かというと、「コンピュータの3D技術を活用し、設計工程を効率化させるためのソフト」のことを言います。

 では、この3DCAD使用することで何が行えるかというと、

・製作する部品を3DCGの形でコンピュータ上に作れる(モデリング機能)


・モデリングした部品同士をコンピュータ上で組み立てられる(アセンブリ機能)




  

・モデリング・アセンブリした部品・組立品の質量や強度について、コンピュータで自動的に計算できる(CAE機能)

・モデリング・アセンブリした3DCGデータをもとに、自動的に機械図面の作成・編集ができる(ドラフティング機能)

等の機能があります。

 3DCADを身近なモノで例えると、3D映像を作るときに使用する、モデリングソフトの機械設計版と思って頂ければまたイメージしやすいかなと思います。
(※もちろん、2DCADの場合と同じく、一般的なソフトにはない高度な機能が多々備えられていますし、厳密に言うとモデリングの手法やモデルの種類も映像用のソフトとは異なります)

  

  

3DCADを使う主なメリット
  

 3DCADを設計工程に利用することの大きなメリットの1つに、
実際の製作に入る前に、コンピュータ上でシュミレーションできることが挙げられると思います。

具体的な例を挙げると

・実際に製作する前に、部品・組立品の立体的な形状・大きさをコンピュータ上で把握できる

・コンピュータ上で部品の組み立てを行うことで、問題なく組み立てられるか製作する前に確認できる

・CAE機能を使うことで、事前に部品・組立品の質量や強度等がどうなるか確認できる

等があります。

 こういったことが可能なため、実際に部品を製作してからまた設計をやり直すというリスクを減らすことができます。

  

  
 また3DCADは製作する部品・組立品を3DCGで表現できるため、

・作成した製品の3DCG画像をキャプチャすることで、製品の資料作成やプレゼンテーション、宣伝に利用できる

・機械図面の知識がない人にも、どういった製品を製作するのか簡単に説明できる

等のメリットもあります。

 その他、NC工作機械と呼ばれる工作機械と併用することで、CADで作成した3Dデータを元に、部品を人の手ではなく機械に自動的に製作させることも、製作する部品の種類によっては可能です。
 
 またここ数年、3Dモデルをプラスチック樹脂で形にできる「3Dプリンタ」が話題になっていますが、この 3Dプリンタにも3DCADデータを使用することで、コンピュータ上で作成したモノをそのまま作る(成形する)ことができます。

  

  

今後は3DCADが主流になる!?
  

 3DCADには、モデリング等の機能のほかに(ソフトにもよりますが)図面を作成する機能も付いているので、設計工程で行うかなりの種類の作業をこのソフト1つで効率化することができます。

 私は業務で、2DCADも3DCADも設計工程の作業に利用した経験がありますが、正直2次元の図面しか作成できない2DCADよりも、多機能の3DCADを一貫して使用した方が効率がいいと思いました。

  
 3DCADは、要求されるパソコンのスペックとソフトの価格がネックで、一昔前まであまり普及していませんでした。
 しかし、現在では高スペックなパソコンが手ごろな価格(あくまで企業レベルの話ですが)で購入でき、「ミドルレンジ」と呼ばれる高機能かつ廉価なソフトもリリースされているので、今後は3DCADが主流になるんじゃないか、と製作現場にいる人間として思います。

  

  

終わりに
  
 今回の記事はここまでです。
今回は機械製作のツールの1つである「3DCAD」を取り上げましたが、いかがだったでしょうか?

 本文で紹介した通り、3DCADは機械を3DCGというわかりやすい形で再現するものなので、機械設計や製図の知識がない方でもわりと興味や親近感が持てるツールだと思います。
 実際に使用してみると、まだ製作していない部品が簡単な操作で、どんどんコンピュータ上に出来上がっていくのは(個人的にはですが)とても楽しいです。 
 
  
 ただし、2DCADもそうですが、
・CADはあくまで単なるツールであり、機械設計や製作の知識があって初めて有効に使えるものである
・またそういった知識なしに製図・モデリングだけで実用品である機械製品を作るのは大変危険である
ということは、機械系技術職に興味のある人には特に知っておいてほしいです。
 それと同時に、設計の知識を元に使用すれば、大変有用で利便性の高いツールであり、今後の機械製作ではますます重要なモノになるであろうということも知っておいてもらえればなあと思います。

  

  

 さて、次回のテーマはまだ未定ですが、またこんな感じで、機械製作に関する基本的な事柄をお伝えしようと思います。
                                      お楽しみに!

 

 

※この連載を読んで機械製作の仕事について少しでも興味が出た方には、
筆者が立ち上げたサイト 「機械製作のいろいろ」(kikai.readst.info)
をぜひ読んでいただければと思います。

  

また、職業訓練について知りたくなった方には、
前回の連載である「無職、職業訓練を受ける」や、
同じく筆者が立ち上げたサイト 「職業訓練を活用した就職のススメ」(www.readst.info)
を見て頂ければと思います。

 

もともと技術オタクで,それが高じて実際に機械系の技術職に就きました。 また機械以外にプログラミングや電子工作についても趣味でやっています。 その他社会制度や金融についても興味があり、実際に調べたことや体験したことをもとに自分なりに解説サイトを作ったりしています。

ウェブサイト: www.readst.info