読前読書録vol.8 真梨幸子「あの女」

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 先日、新幹線に乗っていたら、ちょうどこの表紙のように、細かい雨が窓を濡らしていた。雨粒は斜めに流れては、すぐ次の雨粒がこぼれ落ちた。その向こうで、街々はものすごいスピードで過ぎていった。何の変哲もないそうした風景の一つ一つに、生きる人たちがいて、生活があり日常があるのだと思うと不思議な気持ちがする。新幹線に通り過ぎさられるだけの人生。でも僕らが暮らす身近なところにも新幹線は通り、僕自身も通り過ぎさられる人生の一つであるとも言える。通り過ぎる人生と通り過ぎさられる人生。
 日々があり日常があれば、そこに生があり、愛があり、憎しみがある。誰にとっても、”あの女”と忌々しく思う同姓の一人か二人はいるのかもしれない。流れゆく車窓とともに行き過ごすわけにはいかない女が。窓の外に見える向こう側にいる女を、女はどのようにして陥れるのだろうか。直接手を下すのか。歯ぎしりで済ますのか。涼しくなりそうな一冊。

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