読前読書録vol.2 村崎友「校庭には誰もいない」

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 若い頃、速球で鳴らした本格派ピッチャーが、変化球主体でかわすヴェテランとなる。とんがって周りとぶつかっていた少年が、丸くなり和やかな大人になる。人は硬から軟へ移行する場合が多い。あだち充の「タッチ」は逆だ。ふにゃふにゃ恋愛漫画から、甲子園を目指すストーリー漫画へと変わった。ただ”熱血”感はない。ふにゃふにゃのまま甲子園を目指す姿が共感を呼び、ふにゃふにゃが一部変わる姿が心を打つ。
 本格ミステリという言葉は、毅然と切り立つ山のような存在だ。張り巡らされた伏線、計算尽くされたトリック、あっと息を飲む驚きの結末。学問のように先人たちのトリックやスタイルを学び、それとかぶることは許されない。厳然と定められたルールがあり、それに則って振舞うことを求められる。
 あだち充と本格とは、ミスマッチ感があり同時に心惹かれる。「タッチ」は最後まで本格野球漫画ではなかった。本格「タッチ」を期待していいのかな。

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