起源から専門店に至る中で探る 「油そば」とはなんぞや?

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すでに日本の食文化を代表する国民食とも呼べる「ラーメン」ですが、みなさんはどんなラーメンが好きですか?

スープや麺、具材やトッピングの組み合わせで、全国各地に様々なラーメンがあると思います。

そんな誰もが知っている「ラーメン」ですが、その形態を大きく分けると「ラーメン」「つけ麺」「油そば」に分けられます。

しかし、何気に最後の「油そば」を知らない人も、少なくありません。

と、言う訳でニッチな記事こそ至高とする筆者は、あえてマイナーな「油そば」に挑んでみようと思います。

「油そば」とはなんぞや?

最近では「つけ麺」もメジャーになり、誰もが一度は食べた事があると思います。しかし「油そば」に関しては、食べた事がないどころか

「え? 油っぽい蕎麦なんじゃないの?」

ってくらいのレベルの知名度で、過去から現在に至ります。そもそもが「つけ麺」よりも歴史のある「油そば」が、ぱっと出た「つけ麺」よりも下なのは解せません。

ちなみに「油そば」とは、特製のタレにラーメンの麺を絡めて食べる、言うなれば「汁無しラーメン」的な何かです。

そんな微妙な立ち位置の「油そば」の歴史を解説しつつ、その素晴らしさを世間一般に広める勢いで綴ってみましょう。

武蔵野で生まれた「油そば」

「油そば」の起源については諸説ありますが、有力とされているのは亜細亜大学の近くにある『珍々亭』とされています。

まあ、言う程「油そば」に歴史がある訳でもないので、この説が正しいのではないでしょうか?

そして、武蔵野周辺に「油そば」は広まり、その後は全国にジワジワと広まりま…せんでした。

若干、札幌の『米風亭』などは

「学生時代に食べた油そばが忘れられなかった」

との事で、いつしか札幌で「油そば」の提供を始めましたが、全国的に見ると『米風亭』の例は特別で、他の地域で「油そば」が広まる気配は1㎜もありません。

「なぜなのか?」

恐らく「油そば」と言うオイリーなネーミングが、健康ブームに影響を受けた人達の食欲を、大幅に削いでいるのかと思われます。

と、言う訳で誕生したのが『ジャンクガレッジ』などの「まぜそば系」で御座います。

いや、どう見ても「まぜそば」(和えそば)の方が体によろしくない気がするのは筆者だけでしょうか?
明らかに「ジャンクフード世代」をターゲットにしているので、味付けやトッピングがジャンクジャンクしています。

また、有名メーカーからも何度かインスタントの「油そば」や、カップ麺の「油そば」も発売されたのですが、やはり定着せず「一発屋感」は否めませんでした。

「筆者的には結構好きだったのに… 何故なのか?」

そんな訳でして、あれやこれやと試行錯誤と迷走を繰り返しながらも、それなりに定着しているのが「油そば」と言う事です。

そんな「油そば」が横浜でも食べられると言う事で、筆者も油そば専門店『ぶらぶら』に行ってみました。

油そば専門店『ぶらぶら』の「油そば特盛り」を食す!

筆者が訪れた時はキャンペーン中だったらしく、なんと「特盛り」も普通盛りと同じ料金で食べられる模様!

と、なると筆者の選択肢はひとつです。

若干、基本の「油そば」の普通盛りで690円と、ややコストパフォーマンスに欠ける気がしないでも無いのですが、まあ特盛りなら690円でも有りか無しかと言われたら、有りかと存じます。

テーブルには各種調味料と「油そば」の食べ方を綴ったマニュアル的な何かがあります。

やはり「油そば」と言えば「酢」と「ラー油」は必須アイテムでしょうか?

『ぶらぶら』では、さらに「ニンニク」と「刻みタマネギ」もカウンターに用意されます。

若干、筆者の手元に現れた薬味用容器には、スプーン的な何かが無かったので、よしんば「刻みタマネギ」を欲したところで何も出来ないのですが、味の変化が期待出来るアイテムが豊富なのは良い事です。
(もしもスプーンが無い時は店員さんを呼びましょう)

「油そば」の食べ方

カウンターの上には初心者の為に「油そば」の食べ方を記したマニュアル的な何かがあります。

せっかくなので、マニュアル通りに食べる事にしてみます。

まずは、何もアレンジせずに良く混ぜて、そのまま食べる…と。

タレが少ないのか麺が多いのかは謎ですが、ちょっと切ない気分になった筆者です……。

まあ、こういう時の為にカウンターの上には「タレ」が用意されているので、さして問題ではないのですが、やはり「特盛り」にはタレも増量して頂きたいと、思わずにはいられません。

そして「油そば特盛り」と対峙する筆者……。

第一印象は「具が寂しい」的なイメージですが、これは各種の具材を食券で買う事で緩和されると思います。

やはりスープが無いので、ちょっと寂しい感じになってしまうのでしょうか?

「油そば」は意外と美味い!

グラフィック的に寂しいイメージ先行の「油そば」ですが、実際に食べてみると、コレはなかなか美味しゅう御座います。

そして、言うほど油っぽくない事が判明!

いや、これなら普通に「カップ焼きそば」の方がオイリーなんじゃないでしょうか? ちなみにマニュアルには

「ラーメンよりも油そばの方がカロリーが低い」

と書いてありました。確かに作る所を見ていたら、小さなレードルに油を1杯だけ丼に入れていました。

この程度の油であれば、確かに普通のラーメンよりもカロリーが低い予感です。

各種調味料で味を変えるべし!

そして「油そば」の一番の醍醐味は、各種調味料を使って自分の好みの味に変えられる事でしょうか?

確かに最近のラーメン屋さんも、調味料は豊富ですが「油そば」の方が自由度は高いです。

特に定番なのは「酢」ですね。むしろ、ほとんどの人がひとくち食べたら速攻で酢を入れると思います。
酢を入れる事で油っぽさが中和され、よりサッパリと食べる事が出来ます。

次に「ラー油」も欠かせません。当然、適度な辛さを加える事が出来ます。

さらに『ぶらぶら』では特製の「刻みニンニク」があるので、コレも少々加えてみましょう。
「刻みニンニク」は、かなり香りが強いので少量づつ入れる事を推奨します。

他にも色々な調味料があるので、まさに変幻自在の「油そば」が楽しめます。
食べている途中で味を変える事が出来るので、麺の量があっても飽きる事がありません。

『ぶらぶら』には「お湯割り用スープ」もある

しかも『ぶらぶら』には「お湯割り用 和風鶏スープ」がポットに用意されています。

これは「油そば」としては、決してスタンダードなアイテムではありませんが、最後の方にスープを加える事で「ラーメン的な何か」としても楽しめると言う神アイテムです。

若干、特盛りの場合は最初から「深刻なタレ飢饉」に陥っているので、ラーメン的な方向に持って行くのは難しいと思われますが、なんとなく筆者も使ってみました。

結果、こうなるよね~みたいな状態で御座います。

うっすらと鶏ガラっぽいスープ的な何かですが、卓上のタレを豪快に使わない限りは、とてもラーメン的な方向に向かうほどの濃度はありません。

しかし、逆に「お吸い物」みたいなモノとして楽しむには、いい感じの濃さになっています。

食後のスープとしてみたら、美味しいと思いますね。

「油そば」 総評

油そば専門店『ぶらぶら』で久しぶりに「油そば」を食べたのですが、なかなか美味しかったですね。

筆者が札幌の『米風亭』で食べたベーシックな「油そば」も個人的にはハマったのですが、『ぶらぶら』は色々と工夫されていて「油そば」の可能性を追い求める姿勢に好感が持てました。

若干、個人的なワガママと言うか欲求を言わせて頂くと

「油そばって、もっと安くならんの?」

と思ったりもします。いや、一番コストの掛かるスープの部分が無いんだから、確実にラーメンよりも安くなるとは思うんですよね。

まあ、ソレを言ったら「二郎系」の「汁無し」も安くしろって話になっちゃうんで、業界的にはそんなもんかなと思えなくもないのですが。

コストパフォーマンスうんぬんは置いておくとして、筆者的には「油そば」は美味しいと思うんですよね。

やはりネーミングのせいで流行らないのでしょうか?

いや、やはり味がイマイチなのでは無く、ただ「喰わず嫌い」の人が、まだまだ居る予感がします。

それでは、みなさんも一度は「油そば」を食べてみて下さい。ラーメンとは違った味わいがあるので、もしかしたらハマるかもですよ。

油そば専門店 ぶらぶら

住所:神奈川県横浜市西区南幸2-12-13 愛知屋ビル1F

営業時間:日~木 11:00~翌2:00
     金、土 11:00~翌3:00
定休日:年中無休

酒と料理に情熱と脂肪を燃やすフリーライター ”日の丸構図で寄りまくる!”と言う素人写真を武器に暗躍する。美味しい料理を世界にバラ撒く”飯テロリスト”として各国の情報機関にブックマークされたが反省はしていない。 取材依頼(新店舗、新メニューのPR)その他記事の執筆依頼は下記のメールアドレスまでお願いします! [email protected] なんとなく作ったサイトも絶賛稼働中! http://foodnews.jp/

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