【意外と知らない!?】機械系技術者の事情 第一回「学歴」

  by 前田アキヒコ  Tags :  


はじめに

 この連載では、機械系技術職に就いた私自身の経験や体験をもとに、機械系技術者に関するちょっとした情報や仕事の内容について紹介していきます。

  

 また、私はもともと職業訓練を受けて就職した身なので、業界の雇用状況に詳しい訓練校職員の方にいろいろなアドバイスを受けてきた経験もあります。

 なので、本連載では、(ちょっとしたものではありますが)機械系技術者の求人事情についても触れていきたいと思います。

 初回である今回は「機械系技術職と学歴」をテーマに記事を書いていこうと思います。

  
※本連載を読む上での注意 

 なお、ひとくちに機械系の企業や技術者と言っても、実際は企業や所属する部門のタイプによって業態や業務がそれぞれ異なります。
 私自身は、「設計・機械製図業務」をメーカーから請け負う「機械設計事務所」という分類の企業に就職した人間です。
 なので、本連載の内容もこの種の業務かそれに近いものを担当する企業・技術者についての情報がメインになっています。その点ご了承頂ければと思います。

  

  

  

技術職と学歴の関係

  
 一般的に、企業に就職するためには「学歴」が必要であると言われています。
 特に有名な企業に就職するには、なるべく高偏差値な大学を卒業し、仕事を覚えるのは入社後の研修やOJTを通していうのがよく聞く流れです。

 つまり、こういったケースでは「(入社時点での)業務を行う能力よりも、学歴の方が優先される」という見方ができると思います。

  
 では、技術的な業務を行っている企業についてはどうなのでしょうか?

 仮にその業務を行う能力が十分あったとしても、有名大学などを卒業していない限り、就職は難しいのでしょうか?一般的な業種の企業と同じく、やはり学歴が優先されるのでしょうか?

 今回はこのあたりの事情について触れていきたいと思います。

  

また、記事の後半では、「立派な学歴も業務を行う能力も今の時点ではない」という人が、技術職に就くためにはどうすればいいのか?ということも述べたいと思います。

  

業務経験>学歴

  

 まず先ほどの「技術的な企業も学歴が優先されるのか?」という問いに答えると、「ケースバイケースである」という言い方ができると思います。

 なぜかというと、この場合、選ぶ企業のタイプによって、答えが分かれるからです。

まず学歴が要求される可能性が高い企業についてですが、
こういった企業の特徴としては

業務で製品の製作以外に、学術的な研究を行う「基礎研究」やそれに近い業務も行う企業
世間的にもよく知られた大規模のメーカー・企業

などが挙げられます。

 こういった企業では、大学での履修内容や研究内容、または学歴そのものが重要視される可能性が高いです。

 ただ、一般的な業種の企業と違うのは、大学にいる時点でその分野を専攻していることを求められることです。

 なのである意味、学歴と同時にその分野での知識・能力の両方が評価の対象になっているとも言えると思います。

  

  

次に、学歴が要求されない可能性が高い企業についてですが、
その特徴を挙げると

基本的に製品の製作が業務のメインになっている企業

と言えると思います。

 この分類にあたる企業は、大手メーカーが企画した製品の製作作業(の全部または一部)を請け負う、いわゆる下請けの企業が多いのですが、こういった企業ではまず学歴よりも、その分野での業務の能力が優先して評価されます。(私が就職した企業もこのタイプに入ります)

  

 理由としては、製作の現場において必要なのは、業務を行える「能力」であり、学歴だけを持っていても戦力にならないという事情があるからです。

 なのでこういった実力本位な企業に就職するには、能力さえあればOKだと言うことができます。

  

 ただし、実際の就職において能力があることを示すには、自己申告のみではなかなか信用されません。
 信用を得るためには、それなりの客観的な「証拠・根拠」を提示する必要があります。

  
 では、どういったことを企業に示せば信用されるかというと、一番いいのは、やはり業務経験があることを示すのが最もいい方法だと思います。

 以前の職場で、同じ内容や系統の仕事をした経験があれば、かなり高い確率で自分に業務を行う能力があることを示すことができます。

 実際、私が就職した企業の人事担当の方の話を聞いてみても、やはり求人の応募でまっさきに注目するのは、学歴よりも以前の職場での業務内容だということでした。

  

なので、この
基本的に製品の製作が業務のメインになっている企業
においては、学歴よりも業務経験を持っている人の方が就職には強いと言えると思います。

  

  

場合によっては学歴も評価の対象になる

  

 ではこういった企業では、学歴が全く評価の対象にならないかというと、実はそうではありません。

 仮に業務未経験で、他に業務能力を示すものがない場合は、資格・免許等の他の項目と並行して、学歴も評価の対象になります。

 なのでこういったケースだと、当然いい学校を出ている人(特にその分野を専攻していた人)の方が有利だと言えます。

  

機械系技術者の敷居はそんなに高くない!?

  

 このまま記事を終わらせると、単に「技術職も学歴が最低限必要」というごく普通の内容の記事になってしまいます。

  
 筆者としては、それは避けたいため、ここからは仮に「立派な学歴も業務を行う能力もない」という人が、技術職に就きたい場合、どういう選択肢があるのか書きたいと思います。

  

 これまで書いた通り、業務経験・学歴共になしという条件では、どの企業にも、雇用されるのはかなり厳しいと思います。
 しかし、筆者は機械系の企業に就職した身なので、あえてこの分野に限定して話しますが、機械系の技術職はそこまで敷居が高いものでもありません。

   もちろん、この分野の中でも特に高度な分野(機械設計等)には、それなりの業務経験や学歴が求められます。

  
 しかし、先程も触れた「基本的に製品の製作が業務のメインになっている企業」においては特にそうですが、
機械系技術職の中には、最低限のスキルや知識、そしてそれらを裏付ける最低限の経歴があれば雇用の可能性のある役職というものがいくつかあります。

  
 例えば、設計者をサポートする職務である「設計補助」や設計者の指示で機械図面を作成する「CADオペレーター」などが挙げられます。
  
 これらの役職に就くには、大学・大学院で4年以上機械分野を専攻するようなことはせずとも、1,2年の専門学校や、試験を通れば無料で受講できる職業訓練(半年から1年程度)を受ければ、雇用される可能性は(もちろん各個人の条件にもよりますが)、まあまあ出てきます。

   当然最初は、豊富な業務経験がある、または高学歴な人ほど良い待遇ではないでしょうし、高度な業務ではなく若干雑用や軽い事務等の見習い的な業務から始まるでしょう。

 しかし、技術職は先ほどにも書いた通り、個人の能力や業務経験がモノを言う世界です。

  
 一度この業界に入り、そこから業務を通して順調に技術・経験を得ていけば、徐々に好待遇のポストに就いたり、より待遇のいい他会社に転職できる可能性も出てきます。
そして、より専門的な職務にも就けるようになるでしょう。

  

 世の中、不景気や雇用の問題が叫ばれていますが、それは全体のレベルであって、
特に技術の製作現場では、景気うんぬんに関わらず、スキルと経験を持った人材を常に求めています。

  
 なので他の技術職や専門職も同じかもしれませんが、機械系の技術職も順当にやっていけば、一生かはともかく長い間食べていくことはできると思います。

  

  

 ここまで長々と書きましたが、機械系の技術職を志望しているけど、経歴・学歴がネックで諦めている方がいるなら、必ずしも大学・大学院に行かずとも技術職につける可能性はゼロではないうことだけはぜひ知っていおいてもらえればなと思います。

(というより著者も、職業訓練校に行って就職するまでは単なる学歴もないフリーターでした。なので、今回の話は実体験に基づいています)

  

  

 今回の記事はここまでです。
「機械系技術者の事情」の第一回、いかがだったでしょうか?

今後もあまり斬新な内容ではないとは思いますが、このテーマでしばらく記事を書いていく予定です。
よかったら、ぜひ次回も読んで頂ければと思います。お楽しみに!

 

 
※この連載を読んで機械製作の仕事について少しでも興味が出た方には、
筆者が立ち上げたサイト 「機械製作のいろいろ」(kikai.readst.info)
を是非読んでいただければと思います。

  

また、職業訓練について知りたくなった方には、
前回の連載である「無職、職業訓練を受ける」か、
同じく筆者が立ち上げたサイト 「職業訓練を活用した就職のススメ」(www.readst.info)
を見て頂ければと思います。

もともと技術オタクで,それが高じて実際に機械系の技術職に就きました。 また機械以外にプログラミングや電子工作についても趣味でやっています。 その他社会制度や金融についても興味があり、実際に調べたことや体験したことをもとに自分なりに解説サイトを作ったりしています。

ウェブサイト: www.readst.info