HKT48指原莉乃座長公演に行ってきた

  by 古川 智規  Tags :  

HKT48指原莉乃座長公演は16日の公演期間のうち中日をむかえ、たまたま知り合いの同行でチケットが入手できたので観客として観劇してきた。

明治座は140年の歴史を誇る劇場で、主に歌舞伎を見る場所として知られている。都営新宿線の浜町駅すぐそばにある同劇場は普段、ご年配のご婦人方がお芝居を見るためにごった返すが今日は違う。

平日にもかかわらず老若男女のヲタさんがわんさか。17時の開場にかかわらず、まだ4月とは言え肌寒く風吹く中で、15時過ぎには長蛇の列だったらしい。人気の高さがうかがえる。

明治座の前には通常の歌舞伎公演と同様に、出演メンバーの興行のぼりが立ち雰囲気を盛り上げる。ファンは普段目にできない興行のぼりを写真におさめていた。入場開始と同時に列は明治座の中に飲まれていくが、通常のライブやコンサートと同様に、手荷物および金属探知機チェックがある。それを終えると「ご来場御礼」と書かれた手ぬぐいが全員に手渡された。

エスカレーターを上がると特設の「指原神社」を目指す。

出演メンバーのサインが書かれた同神社に「参拝」した後は、幕間(まくあい)に食べるお楽しみのお弁当を購入する。

幕の内弁当の語源のひとつと言われる幕間に食べる弁当はこの公演期間中に限りHKT48特製のもので、H博多の焼ラーメン、Kからあげ、T卵焼きというラインナップ。おにぎりは明太子、高菜、揚げ玉が仕込んである"たぬきおにぎり"の3種。それに福岡特産のあまおうイチゴが添えてある。たぬきは今回の公演のテーマだ。ちなみにお値段は900円、お茶付きで1000円と少々高いが、二度と出るようなものではないので、ご祝儀と割り切ろう。

今回の席はS席1階の舞台下手花道の脇。結果的にはお芝居はもちろん、ライブ中も花道をメンバーが駆け抜ける「神席」だった。早速指定席に座して開演を待つ。

第一部のお芝居である博多少女歌舞伎『博多の阿国の狸御殿』は横内謙介氏書き下ろしのオリジナルで、肩の力を抜いて楽しく笑える人情喜劇ということになっているが、まわり舞台やセリ、大道具、小道具をふんだんに使用し、歌舞伎やミュージカルの要素も取り入れた立派なものだった。

通常、歌舞伎では大向こうをならすこと(役者の見せ場で観客が声をかけること)が当たり前になっているが、本公演でも開演前に大向こうの練習と称するものが取り入れられ、歌舞伎を知らない人でも楽しめるように趣向を凝らしてあった。さすがに屋号はないために、役名やメンバーのニックネームでも可とされた。その他「日本一!」「待ってました!」「御両人!」「たっぷり!」等、本格的な大向こうをならす練習もやる。本来であれば3階席中央の男性がやるものだが、そこはアイドルの公演、全員から声がかかるのを良しとされた。ただし座長の指原莉乃に対しては「座長!」と声をかけるルールだ。

概ね90分のお芝居は涙あり、笑いありでシナリオが素晴らしいからか役者がいいからか、感動ものだ。幕間25分の間にお弁当を食べて第二部の開演だ。

第二部は第一部からの続きという設定で『踊る!たぬき祭り』というライブとなる。ここでも舞台仕掛けをいっぱいに使ったライブで、歌舞伎では立つことは厳禁だが途中からは立ってもよいことになり、総立ちで通常のライブ感一杯の楽しいひと時となった。特筆すべきは歌舞伎ではありえないLEDをふんだんに使用したライトアップ演出と、すべての曲が生歌となっていたところであろう。これも座長のこだわりといったところか。

およそ1時間のライブで、アンコールを含めて合計3時間の公演は終了した。アイドルグループが本気で挑んだお芝居とライブ。伝統ある明治座の歴史と、比較的新しいアイドルグループの歴史に新たな1ページが加わった瞬間だった。

 

※写真はすべて記者撮影のもの。観客としての観劇なので、公演中の写真は撮影おらず掲載できません。

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